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ラボグロウンダイヤモンド

ジュエリーメーカー大手、今後は合成ダイヤのみの取り扱いへ

ジュエリーメーカー大手、今後は合成ダイヤのみの取り扱いへ

2021.05.11 12:00
Whitney Kimball – Gizmodo US[原文]( たもり )

天然ダイヤモンドとはお別れ。

一口にダイヤモンドと言っても、採掘された天然ダイヤモンド、そして化学組成が同じでも紛争の資金源にはならないラボグロウン・ダイヤモンド(人工ダイヤ)といった種類があります。チャームブレスレットで知られている世界最大級のジュエリーブランドPandora(パンドラ)は先日、今後はラボグロウン・ダイヤモンドのみを販売、またそれらを「手の届くサスティナブルに作られた製品」として売り出すと発表しました。

ラボグロウン・ダイヤモンドが「エコフレンドリー」だという主張は未だに疑わしいものの、ダイヤモンド採掘業界が生き残るための言い訳には必死さが窺えます。天然ダイヤモンドを採掘する企業の団体National Diamond Council(NDC)は、トレンドブログのようなものを運営していて、その投稿で同団体が提供する「ダイヤモンド」は、「地球から」採れた「天然ダイヤモンド」にしか当てはまらない単語だと綴っています。この宝石はおよそ10~30億年前、地中100マイル下で炭素にとてつもない高温・高圧が加わって形成され、マグマの噴出によって地表近くまで運ばれてきました。そんな天然ダイヤモンドを収集する人もいれば、「人工」や「工場」、「工業用」や模造品といった単語と結びつく小さなコスチュームジュエリーを手に入れる人もいます。

言及されていませんでしたが、“本物“のダイヤモンドは冷酷にも武器取引や終わることのない流血惨事とつながっています。一方、ラボグロウン・ダイヤモンドは構造的には天然ものと同じで、コンサルティング会社Bain & Company(ベイン・アンド・カンパニー)の年次報告書によれば、その価格は“本物“のダイヤモンドの10分の1です。それにラボグロウン・ダイヤモンドは、ビッグバンと地球の生命がおよそ35億年の進化を経たからこそ可能になった人類の偉業でもあります。

現にNDCに属しているDe Beers(デビアス)社は、既にラボグロウン・ダイヤモンド製造の誘惑に屈しています。

ラボグロウン・ダイヤモンドの販売者と“本物“のダイヤモンド採掘業者の両方が、自身のダイヤの方が「エコフレンドリー」だと主張してきましたが、どちらもまだ証明するには至っていません。大企業の炭素排出量と環境への影響を分析する会社Trucostが実施した調査では、天然ダイヤモンドの二酸化炭素排出量はラボグロウン・ダイヤモンドの3分の1(1カラット当たりのCO2量はそれぞれ160kgと511kg)だとされていました。しかし、これには但し書きが必要。研究自体がダイヤモンド生産者協会(DPA)、現Natural Diamond Councilのために行われたものだからです。Trucost社のアナリストRick LordさんはVogueに対して、「鉱山の閉鎖、ダイヤモンドのカッティングと研磨、小売りとダイヤモンドのライフサイクルにおける中古フェーズ」の多大なコストは計算に入れてないと述べていました。デラウェア大学でエネルギーと環境を教えるSaleem Ali教授は、その結論が「良識を無視したものだ」と発言しています。

一方、この調査はラボグロウン・ダイヤモンドの二酸化炭素排出量に関して公的に入手可能なデータだけを用いていて、「ラボグロウン・ダイヤモンド製造の温室効果ガスと環境への広い影響に関する情報公開は不十分」だと綴っています。2019年には、ラボグロウン・ダイヤモンドが「エコフレンドリー」、「エココンシャス」や「サスティナブル」であるというまだ立証されていない主張をしているジュエラー8社に対して連邦取引委員会が警告書を出すということがありました。

パンドラは、来年には同社のダイヤモンドの製造を100%再生可能エネルギーで賄うようにするとも発表しています。 同ブランドのラボグロウン・ダイヤモンド製品はまずは英国で販売されて、2022年にグローバルで展開される予定。物議を醸しそうです。

Source: NY Times(1, 2), Pandora, National Diamond Council, Global Witness, CNBC, Bain & Company, Trucost, Vogue Business, FTC,